近畿大学 図書館司書コース(情報資源組織論)

近畿大学図書館司書コースの科目終末試験の原稿をフォルダの奥底から発見しました。
いくつか、抜粋して紹介します。

情報資源組織論

1.情報資源組織の目的と意義について説明せよ。 

情報資源組織の目的は、情報を検索可能な状態にすることであり、図書館においてはサービスの基盤を形成する点で意義を有する。 
図書館のように多くの資料を有する場所において自身の求める資料を見つけ出すことは困難を極める。さらに、近年の情報化社会の進展に伴い、大量の情報が氾濫している社会においては、この困難の改善は喫緊の課題である。また、求める資料が検索できなければ図書館は機能せず、基本的なサービスも展開できない。 
以上より、大量に蓄積されている情報に秩序や構成を与えることで求める情報を検索可能にするものである情報資源組織は、図書館にとって根本的・本質的な意義を有するといえる。 

 

2.図書館サービスという枠組みにおいて、サービスとしての情報資源組織がどのように位置づけられているかについて、他のサービスの事例をとりあげながら説明せよ。 

情報資源組織自体を、利用者が資料を検索できる状態にするためのサービスととらえると、技術的・間接的なサービスとして「テクニカルサービス」や「間接サービス」の一つと位置付けられる。(以下、サービス事例…)
一方で、閲覧サービス、貸出サービス、レファレンスサービスなどは、利用者に対して直接的なサービスとして、「利用者サービス」や「直接サービス」と呼ばれている。 (以下、サービス事例…)


3)図書館における検索の種類を2つあげて、それぞれの内容について例を用いながら説明せよ。 

 図書館における検索は、①既知資料の検索と、②未知資料の検索に大別しうる。
 既知資料検索とは、求める資料が既知のものである場合に、当該資料が図書館に所蔵されているか否かを確認する際に行われる検索のことである。例えば、夏目漱石の『坊っちゃん』という特定の本を検索する場合が該当する。アクセスポイントとしては、タイトルや著者が採用される。 
 一方、未知資料検索とは、求める資料が未知のもので特定されていない場合に行われる検索のことで、著作に関する検索と主題検索に分類できる。 
 著作に関する検索とは、ある著者の何らかの資料を求めて行う検索のことである。夏目漱石の著した何らかの本を読みたいと思って行う検索であり、この場合に求められる著作は特定されていない本といえる。 
 主題検索とは、何らかの内容に関する資料を求めて行う検索のことである。例えば、サッカーに関する本の検索がこれに該当する。この場合、サッカーに関する特定の本の有無を確認する検索ではなく、サッカーに関する何らかの未知の本を利用者は求めていると考えられる。 

参考文献『情報資源組織論』田窪直規(2011)